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プリーチャーの手はグリスまみれ – エル・ソリタリオが大好きになるバイクムービー

少し前に話題になっていた、Deus Ex Machinaやローランド・サンズ、木村信也氏が登場するドキュメンタリームービー「The Greasy Hands Preachers (原題直訳:油まみれの手をもつ伝道者達)」の字幕版が、いつのまにかアマゾンビデオでレンタルできるようになっていたので遅ればせながら視聴しました。


(出典:バイク野郎列伝よりスクリーンショット)
「手と頭と心を用いて働く者は芸術家である」
アッシジの聖フランシスコの有名な一節の引用が画面に浮かび上がったあと、映画はボンネビル・スピードウィークで走り終えた木村信也氏を回収する場面から始まります。静かなオープニングがかっこいい。

邦題は何故か「バイク野郎列伝」になっていて、これは控えめに言ってこの映画の雰囲気を台無しに…
全編通して”バイク野郎列伝!!”なんてテンションの高さはなく、「禅とオートバイ修理技術」ほどじゃなくてもいいんですけど、もう少し渋くカッコいいタイトルを付けて欲しかったところです。これなら原題のカタカナ読みをそのまま題名にしても良かったのでは?

オープニングの後、映画は5章構成で進行して、それぞれ、
第1章「THEY BUILT IT THEMSELVES (彼らは自分自身で作った)」
第2章「WINNING IS GREAT IF THAT’S ALL YOU CAN DO (勝つことは素晴らしい。が、それだけが全てではない)」
第3章「BLANCING THE FORM AND THE FUNCTION (かたちと機能性のバランス)」
第4章「THE AMAZING WORLD OUT THERE (そこにある素晴らしい世界)」
第5章「CAPTURING THE ELUSIVE RED DRAGON (幻のレッドドラゴンを捉える)」
と、意味深げな章題になってます。
特に複線がどうのという内容でもなく、美しい景色とインタビューのザッピングがオフビートに進むので気負わずダラダラ観れます。

インタビューされているのはエル・ソリタリオ(El Solitario)、ブリッツ・モーターサイクルズ(Blitz Motorcycles)、ローランド・サンズ、木村信也氏、Deus Ex Machinaの有名ビルダーの方々。
なかでも、クセの強いカスタムバイクで有名なエル・ソリタリオのダヴィデ・ボラスさんのインタビューが引き立っています。


BIKE EXIFでも悪名高いとか世界で最も嫌われているバイク屋とか、言われたい放題のエル・ソリタリオ。どんなバイクを製作しているかというと、


エル・ソリタリオのYard Built XJR1300 「Big Bad Wolf」

劇中に登場するエル・ソリタリオのDucati 900SS カスタム「Petardo」


これなんか、なんというかホドロフスキーのような世界観。エル・ソリタリオって名前も絶対ふざけて付けてますよね。


劇中のインタビューでのエル・ソリタリオのダヴィデ・ボラスさんの言葉が男前です。





(出典:バイク野郎列伝よりスクリーンショット)

「自分が本当に好きなことをやり始めると、同じエネルギーによって動かされている人たちと出会うようになる。同じものを求め、同じものを探し、同じ小さな世界を共有しインスパイアし合い、同じ感覚を体験しようとしている。」
文章で読むより、ボラスさんのあの話し方がいいんですよね~。

もうワンシーン。







(出典:バイク野郎列伝よりスクリーンショット)
こういう人がやっているのかと解かると、途端に、なんだこりゃと思っていたエル・ソリタリオのクセの強さがかっこよく見えてくるから不思議です。


エル・ソリタリオ、ホームページとか覗いてみるとアパレルも展開していてかっこいいんですよ。


バイク野郎列伝を観たあとなら、儲けに走りやがってなんて気も全く起きません。むしろ応援したい。


(出典:elsolitariomc.com)
このTシャツとかリアルに欲しい。


↑ここで着用いているズボンも実はエル・ソリタリオのレザーパンツだそうです。


と、ここまでエル・ソリタリオ推しになってしまいましたが、この映画の真の主役(と言っていいはず)、木村信也氏のインタビューも必見です。映画自体、木村信也氏で始まり木村信也氏で終わるループ構造になってます。

以下、木村信也氏のブログにこの映画に関するコメントがあったので引用します。
「ドキュメンタリーの中でブルーカラー、ホワイトカラーという言葉がたくさん出てくるけれど、日本では「職業に貴賎なし」と言ってすべての職業は尊いものだと教わる。とくに手に職を持つということ、職人に対する尊敬の念などを伝えようとしたけど、西洋の人にはなかなか理解してもらえなかった。好きなことを生業にして生きていくということは簡単ではないけれど素晴らしい。それには襟の色は関係ないよ、志の問題だよってことが言いたかったけど、本編であまり使われていないのが残念。」
(出典:http://shinyakimura.blogspot.jp)

第3章「BLANCING THE FORM AND THE FUNCTION (かたちと機能性のバランス)」とか、ほぼほぼ木村信也氏の言葉で出来てます。


日本語で理解できるセンスのいい映像は少ないので、こういう映画は貴重ですね。
使用されている音楽もギャラクシー500の「Another Day」だったり、Yamasuki Singersのエキゾポップ「Yama Yama」が流れたり、ワンダ・ジャクソンのロカビリー「Funnel of Love」とツボを押さえた選曲。
興味のある方はぜひ!!


バイク野郎列伝 (字幕版)

この映画はバイクファン達の熱い思いとその幸せ探しを通して、手仕事の再発見に迫る。スーパー16で撮影された「油まみれの手をもつ伝道者達(バイク野郎列伝)」はフランス、アメリカ、スコットランド、スペイン、そしてインドネシアに旅しながら見るものを世界各地に誘う。アメリカのローランド・サンド、日本のキムラ・シンヤからヨーロッパで物議を醸すエル・ソリタリオ、ブリッツ・モーターサイクルなど世界中から名立たるキャストが参加している。

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