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70年代最強のナナハンレーサーTZ750を纏った、XSR900 ロードレーサーカスタム

XSR900ロードレーサー

ボンネビル・スピードウィークに挑戦するXSR900 Abarth(アバルト)の姿がSNSで流れてきたのは8月の半ば頃。
XSR900 Abarthと一緒にヘリテージ外装のRZブラックXSR900の姿も。


そして、もう1台見慣れない車体が。


それが今回紹介する、レーシングカウルを纏ったXSR900。
「Yamaha ヤードビルト XSR900 ‘Legendary TZ750 Styling’ by Jeff Palhegyi Designs」
このマシンがXSR900をカスタムしたものだと分かったとき、まさかの変身におおお!と興奮。
XSR900のキモであるフレームを見せるために(おそらく)、フロントカウルとアンダーカウルがハーフ&ハーフになったレーシングカウル、タンクカバー、シート、テールカウル、フロントフェンダー等の製作はすべてワンオフ品。ブリッジ下にセットしたセパレートハンドルはワンオフ品ではなく市販品のようです。フォーク形状に合う市販品がもうあるんですね。

ベースになったXSR900
XSR900
(出典:yamaha-motor.co.jp)

XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)


モチーフとなったTZ750


1978 TZ750

なにかと引き合いにだされ、カスタムのモチーフにも度々持ち出されるTZ750
2ストレーサーとして世界でも最大の排気量を誇ったマシンです。
ヤマハ公式サイトのレースヒストリーコラムから、TZ750の部分をざっくり抜粋します。
70年代半ばから80年代の頭にかけてむちゃくちゃ速かった感じが伝わってきますね。

1971年から700cc市販レーサーTZ750(YZ648)の開発に着手。1974年デイトナ200に初めて投入し、ファクトリー仕様の0W19を駆るジャコモ・アゴスチーニ、ケニー・ロバーツのみごとな1-2フィニッシュでデビューウインを飾った。

また1974年以降、全日本選手権やFIM杯のF750クラスにも数多くのTZ750が登場。ヤマハ国内チームをはじめ、各国のヤマハ販売会社、インポーター契約の選手たちが中心となって活躍し、しだいに他社製マシンを圧倒していった。
 その後1977年、F750に世界選手権が懸けられるようになると、ヤマハはモノクロスサスペンションなどYZR750(0W31)の仕様をそのまま引き継いだ新型TZ750を発売。当時の世界GP250や350を席捲していたTZ250/350と同様に、F750カテゴリーのあらゆるレースでスターティンググリッドを独占した。

F750世界選手権はわずか3年で閉幕。同時にTZ750も生産を続けることができなくなった。
 それでも、市場に残ったTZ750とYZR750(0W31、0W41)は、キャブレター制限付きのF750マシンに1,025cc以下の4ストロークマシン、500ccGPマシンを加えたアメリカのAMAフォーミュラ1クラスで活躍。特にデイトナ200では、デビューから1982年のグレーム・クロスビー(0W31)まで、負け知らずの9連勝※を記録した。
 またヨーロッパでは、TZ750エンジンがサイドカーのGPマシンなどにも転用され、長くチャンピオンマシンを支えた。
 水冷・2ストローク・ピストンリードバルブ・並列4気筒・748cc……。最強の名を欲しいままにしつつ時代の狭間に消えた、不朽の名機である。

(出典:「無敵ゆえに潰えた、幻の最強ナナハン」)

1974年 TZ750
1974年 TZ750

YZR500と同時開発されたフォーミュラ750用市販レーサー。700cc・並列4気筒エンジンはTZ350の2ストローク・水冷・2気筒エンジンを2つ繋ぎ合わせるという、YZR500と同じ発想によるもので、高張力鋼管ダブルクレードルフレームに搭載された。1974年のデイトナ200マイルレースでファクトリー仕様のTZ750がデビューウィンを遂げる(ライダーはジャコモ・アゴスチーニ)など、国内外で大活躍を見せた。
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列4気筒, 694cm³
トランスミッション: 6速
最高出力: 66.2kW(90PS)/ 10,000r/min

(出典:global.yamaha-motor.com)

1978年 YZR750(0W31)
1978年 YZR750(0W31)

フォーミュラ750用ファクトリーマシン。YZR500(0W23)ベースのコンパクトな新設計フレームに、7ポート・ピストンリードバルブ吸気(トルクインダクション)を採用した750cc・並列4気筒エンジンを搭載。1976年に初めて登場し、カウル形状の変更や軽量化など、さまざまな改良を加えて進化。’78年にはフォーミュラ750世界選手権チャンピオン(ライダーはジョニー・チェコット)、デイトナ200優勝を果たした(ライダーはケニー・ロバーツ)。

エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列4気筒, 748cm³
ピストンリードバルブ
トランスミッション: 6速
最高出力: 84.6kW (115PS)/ 10,000r/min以上

(出典:global.yamaha-motor.com)

RZ350のエンジンを2つくっ付けて2スト4気筒RZ700カスタムを作ったとか、ヤマハ車でそういう話を見かけたら、元ネタは74年のTZやYZRなんだと思い出してください。


Jeff Palhegyi Designsのカスタムバイク達

クルーザーのカスタムが多いPalhegyi Designsですが、スポーツバイクでもとても話題になったカスタムがあります。MT-07トラッカーカスタムやSR400スクランブラーカスタムは見たことがある人も多いのでは。


XSR900 カスタム


MT-07(FZ-07) ストリートトラッカーカスタム


SR400FI スクランブラーカスタム


ヤードビルト SCR950 カスタム


XSR900 TZ750スタイルロードレーサーで使用されているパーツは?

XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)

フロントハーフカウル、
XSR900 ロードレーサー カフェカウル
(出典:yamahamotorsports.com)

タンクカバー、
XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)

アンダーカウル、
XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)

テールカウル、
XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)
全てアルミとFRPで作ったクラフト品。

XSR900ロードレーサーカスタム ホイール
(出典:yamahamotorsports.com)
DymagのYZF-R1用UP7XホイールをXSR900に加工して取り付け。

DymagのYZF-R1用UP7Xホイール
(出典:dymag.com)

XSR900 Graves Motorsports マフラー
(出典:yamahamotorsports.com)
Graves Motorsports チタンマフラー(カーボンサイレンサー)

XSR900 Graves Motorsports チタンマフラー(カーボンサイレンサー)
(出典:gravesport.com)

Graves Motorsportsのクリップオンハンドル(セパハン)
XSR900 セパハン
(出典:yamahamotorsports.com)

XSR900  Sato Racingのバックステップ
(出典:gravesport.com)
Sato Racing(Baby Face)のバックステップ
※ベビーフェイスは海外では『サトーレーシング』のブランド名で展開しています。
XSR900 Sato Racingのバックステップ

ブリヂストン BATTLAX RACING STREET RS10
 ブリヂストン BATTLAX RACING STREET RS10
(出典:bridgestone.co.jp)
Mead Speedのタンクキャップ


XSR900ロードレーサーカスタム
(出典:yamahamotorsports.com)
TZ750と聞いて胸が熱くなる世代にこそおすすめのカスタムなんですが、他のヤードビルトビルダーのようにパーツを量産して販売とかはしなさそうな気がします。もちろんカスタムマシンのオーダーは受け付けていると思いますが。

最近ヤードビルトの新作がヨーロッパではなくUSで発表されるようになってきていて、ヤマハUSAから目が離せなくなっていますね。


出典:「Yamaha Yard Built – XSR900 ‘Legendary TZ750 Styling’ by Jeff Palhegyi Designs」