ボンネビル・スピードウィークに挑戦するXSR900 Abarth(アバルト)の姿がSNSで流れてきたのは8月の半ば頃。
XSR900 Abarthと一緒にヘリテージ外装のRZブラックXSR900の姿も。
I piloti #BornToBeFasterSons sono pronti per oltrepassare il limite con le #FasterSons #XSR900 e lasciare il segno sul lago di #Bonneville! pic.twitter.com/JLqFNvXfO7
— Yamaha Motor Italia (@YamahaMotorIT) 2017年8月14日
#Bonneville: hanno portato le #XSR900 al limite qualificandosi come Pro. Ora i piloti #BornToBeFasterSons si godono il meritato riposo. pic.twitter.com/9iSeFZrlvr
— Yamaha Motor Italia (@YamahaMotorIT) 2017年8月15日
そして、もう1台見慣れない車体が。
それが今回紹介する、レーシングカウルを纏ったXSR900。
「Yamaha ヤードビルト XSR900 ‘Legendary TZ750 Styling’ by Jeff Palhegyi Designs」
このマシンがXSR900をカスタムしたものだと分かったとき、まさかの変身におおお!と興奮。
XSR900のキモであるフレームを見せるために(おそらく)、フロントカウルとアンダーカウルがハーフ&ハーフになったレーシングカウル、タンクカバー、シート、テールカウル、フロントフェンダー等の製作はすべてワンオフ品。ブリッジ下にセットしたセパレートハンドルはワンオフ品ではなく市販品のようです。フォーク形状に合う市販品がもうあるんですね。
ベースになったXSR900
(出典:yamaha-motor.co.jp)
モチーフとなったTZ750
なにかと引き合いにだされ、カスタムのモチーフにも度々持ち出されるTZ750。
2ストレーサーとして世界でも最大の排気量を誇ったマシンです。
ヤマハ公式サイトのレースヒストリーコラムから、TZ750の部分をざっくり抜粋します。
70年代半ばから80年代の頭にかけてむちゃくちゃ速かった感じが伝わってきますね。
1971年から700cc市販レーサーTZ750(YZ648)の開発に着手。1974年デイトナ200に初めて投入し、ファクトリー仕様の0W19を駆るジャコモ・アゴスチーニ、ケニー・ロバーツのみごとな1-2フィニッシュでデビューウインを飾った。
また1974年以降、全日本選手権やFIM杯のF750クラスにも数多くのTZ750が登場。ヤマハ国内チームをはじめ、各国のヤマハ販売会社、インポーター契約の選手たちが中心となって活躍し、しだいに他社製マシンを圧倒していった。
その後1977年、F750に世界選手権が懸けられるようになると、ヤマハはモノクロスサスペンションなどYZR750(0W31)の仕様をそのまま引き継いだ新型TZ750を発売。当時の世界GP250や350を席捲していたTZ250/350と同様に、F750カテゴリーのあらゆるレースでスターティンググリッドを独占した。
F750世界選手権はわずか3年で閉幕。同時にTZ750も生産を続けることができなくなった。
それでも、市場に残ったTZ750とYZR750(0W31、0W41)は、キャブレター制限付きのF750マシンに1,025cc以下の4ストロークマシン、500ccGPマシンを加えたアメリカのAMAフォーミュラ1クラスで活躍。特にデイトナ200では、デビューから1982年のグレーム・クロスビー(0W31)まで、負け知らずの9連勝※を記録した。
またヨーロッパでは、TZ750エンジンがサイドカーのGPマシンなどにも転用され、長くチャンピオンマシンを支えた。
水冷・2ストローク・ピストンリードバルブ・並列4気筒・748cc……。最強の名を欲しいままにしつつ時代の狭間に消えた、不朽の名機である。
(出典:「無敵ゆえに潰えた、幻の最強ナナハン」)
YZR500と同時開発されたフォーミュラ750用市販レーサー。700cc・並列4気筒エンジンはTZ350の2ストローク・水冷・2気筒エンジンを2つ繋ぎ合わせるという、YZR500と同じ発想によるもので、高張力鋼管ダブルクレードルフレームに搭載された。1974年のデイトナ200マイルレースでファクトリー仕様のTZ750がデビューウィンを遂げる(ライダーはジャコモ・アゴスチーニ)など、国内外で大活躍を見せた。
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列4気筒, 694cm³
トランスミッション: 6速
最高出力: 66.2kW(90PS)/ 10,000r/min
フォーミュラ750用ファクトリーマシン。YZR500(0W23)ベースのコンパクトな新設計フレームに、7ポート・ピストンリードバルブ吸気(トルクインダクション)を採用した750cc・並列4気筒エンジンを搭載。1976年に初めて登場し、カウル形状の変更や軽量化など、さまざまな改良を加えて進化。’78年にはフォーミュラ750世界選手権チャンピオン(ライダーはジョニー・チェコット)、デイトナ200優勝を果たした(ライダーはケニー・ロバーツ)。
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列4気筒, 748cm³
ピストンリードバルブ
トランスミッション: 6速
最高出力: 84.6kW (115PS)/ 10,000r/min以上
RZ350のエンジンを2つくっ付けて2スト4気筒RZ700カスタムを作ったとか、ヤマハ車でそういう話を見かけたら、元ネタは74年のTZやYZRなんだと思い出してください。
Jeff Palhegyi Designsのカスタムバイク達
クルーザーのカスタムが多いPalhegyi Designsですが、スポーツバイクでもとても話題になったカスタムがあります。MT-07トラッカーカスタムやSR400スクランブラーカスタムは見たことがある人も多いのでは。
XSR900 カスタム
MT-07(FZ-07) ストリートトラッカーカスタム
ヤードビルト SCR950 カスタム
XSR900 TZ750スタイルロードレーサーで使用されているパーツは?
フロントハーフカウル、
(出典:yamahamotorsports.com)
タンクカバー、
(出典:yamahamotorsports.com)
アンダーカウル、
(出典:yamahamotorsports.com)
テールカウル、
(出典:yamahamotorsports.com)
全てアルミとFRPで作ったクラフト品。
(出典:yamahamotorsports.com)
DymagのYZF-R1用UP7XホイールをXSR900に加工して取り付け。
(出典:dymag.com)
(出典:yamahamotorsports.com)
Graves Motorsports チタンマフラー(カーボンサイレンサー)
(出典:gravesport.com)
Graves Motorsportsのクリップオンハンドル(セパハン)
(出典:yamahamotorsports.com)
(出典:gravesport.com)
Sato Racing(Baby Face)のバックステップ
※ベビーフェイスは海外では『サトーレーシング』のブランド名で展開しています。
ブリヂストン BATTLAX RACING STREET RS10
(出典:bridgestone.co.jp)
Mead Speedのタンクキャップ
(出典:yamahamotorsports.com)
TZ750と聞いて胸が熱くなる世代にこそおすすめのカスタムなんですが、他のヤードビルトビルダーのようにパーツを量産して販売とかはしなさそうな気がします。もちろんカスタムマシンのオーダーは受け付けていると思いますが。
最近ヤードビルトの新作がヨーロッパではなくUSで発表されるようになってきていて、ヤマハUSAから目が離せなくなっていますね。
出典:「Yamaha Yard Built – XSR900 ‘Legendary TZ750 Styling’ by Jeff Palhegyi Designs」