「カフェレーサーとストリートファイターの要素を組み合わせて、カフェファイターを作製する。」
2010年に友人からデビッド・ボウイが車体にグラフィックされたパープルカラーのZXR750をプレゼントされた、インダストリアルデザイナーのBill Webb氏。2年後、カフェレーサーとストリートファイターの両方の要素をパッケージしたカスタムバイクを生み出しました。
「近代的な技術を取り入れ、ミニマリストのカフェレーサー哲学で洗練されたストリートバイクを作りたいと思っています。だから、私は実績のあるモダンなスポーツバイクと、プラスチックの下に隠れる美しいフレームを探しました。」
(出典:Bike EXIF「TURN YOUR CBR1000RR INTO A “CAFE FIGHTER”」)
クラシックなカフェレーサーでは空冷エンジンの造形の美しさもベース車選びの基準になりますが、現代のスポーツバイクをカスタムベースに選ぶときにはフレームの美しさが基準のひとつになるんですね!
ベースになった車両は95年式のZXR750
KAWASAKI市販車では初となる750ccレーサーレプリカとなったZXR750は89年に登場。当時のファクトリーレーサーZXR-7のディメンションや構造を下敷きに設計され、91年のJ型からレースベース車に。SP仕様のZXR750R(K型)は海外でNinja ZX7Rの名称で販売されています。
93年にL型へモデルチェンジし、L型はファクトリーレーサーZXR-7のフルレプリカと言って良いスペックで、その後のスーパーバイク選手権で活躍。
今回のカスタムベースで使用されているのは95年のL3型。ハンドリングマシンとして煮詰められ洗練されたフレームを持つマシンです。
Huge Moto(Bill Webb氏)のデザインビジョン
「非常に異なるスタイルのカスタムバイク(カフェレーサーとストリートファイター)の要素を組み合わせて、「カフェファイター」を作製する。
ここ数年(2014年時点)、カフェレーサーはカスタムバイクのシーンで一番ホットなトレンドとなっています。70年代半ばの日本のストリートバイクがよくベースになっています。不要な部品は取り除かれ、シート/サブフレームは最小限のフラットなシングルシートに変更されます。
バイクは生産から30年以上なので、対処すべき技術(※電子制御技術など)はほとんどなく、ストック(純正)部品がすべて取り外されるとバイクがかなりビルドされます。
CB750はおそらく、カフェレーサーカスタムに最も使用されたドナー(※カスタムベース)バイクです。カフェレーサースタイルは、ヒップスターや都会のライダーに大変人気があります。
対照的にストリートファイターは、現代のスポーツバイクであり、ワイルドなグラフィックにネオンカラーのアグレッシブなスタイルが多いです。
ストリートファイターはレーシングプラスチック(※レーシングカウル)を取り除いたモダンなスポーツバイクがベースになります。プラスチックがなければ、バイクは剥き出しになった未加工の機械の塊のように見えます。
(ファイターは)そういう醜さを祝うもので、所有者が誇りを持って、(未加工の機械の塊のように見えることを)積極的で意味のある審美的なものとして所有しています。」
(出典:core77「Powerful Pet Projects: Huge Design Remade a Motorcycle」)
「私たちのゴールはシンプルでした。モダンなスポーツバイク/ストリートファイターのアグレッシブな性能に、カフェレーサーの(無駄を削ぎ落とした)分かりやすさに比例した美しさを適用したバイク。それをカフェファイターと呼んでいます。」
テールからフロントに向けて落ちるような[ファイタースタンス]にお尻の短い[テーパードシート]。センターに集約されたタンク、フレーム、エンジンがクラシックなカフェレーサーにはないゴツさ/ファット感を際立たせます。
ハーレーV-RODから流用した現代的なデザインのヘッドライトに、ドゥカティ1098から流用したシート。GPスタイルのマフラー、ZX-7Rから流用したラジエター
CADで設計されたシートベース。本来はテールカウルに収納されるリレーやハーネスなどの機能部品はここに収納されます。
塗装にかなりこだわったというこの1台。バイク全体が天然の状態の金属や部品のコレクションのように感じるように纏めたそうです。
出典:core77「Powerful Pet Projects: Huge Design Remade a Motorcycle」