今年の東京モーターショーで発表されるやいなや、世界中にどよめきが起こり、一時Kawasakiの公式サイトにアクセスできない状況も発生したZ900RS。
そのうちDeus Ex Machinaに依頼した公式カスタムが出てくるだろうなと思っていたら、ショーが落ち着いた直後に出てきました。
ベースになったZ900RS
KawasakiはZ900RSを発表する約3ヶ月前にDeusに打診し、2つの全く異なるスタイルのカスタムを依頼しました。ひとつはマッドマックス風のカフェレーサー。もうひとつが今回のフラットトラッカーカスタムです。
カスタムのモチーフはカルトムービー「マッドストーン」
Z900RS トラッカー 「THE STONE TRACKER」 by Deus Ex Machina
このカスタムのモチーフというかインスピレーション元は、映画「マッドマックス」の元ネタといわれる1974年公開のオーストラリアのカルトムービー「マッドストーン(原題:Stone)」。
このオーストラリアの古典カルトムービーと、Kawasaki Z1、この二つがイメージソースとなってZ900RSカスタムが製作されています。カスタムバイクでこういうイメージの重ね合わせはあまり聞かない話ですね。とってもサブカルチャー的。
Deus モーターサイクルデザインディレクター Jeremy Tagandが製作
製作はDeusの有名ビルダーJeremy Tagandが担当。
Kawasakiとのコラボレーションはこれが初です。
試作品のZ900RSが到着したあと、まずデザイナーのSaxon Shingとカスタムの方向性の検討を始まります。撮影した写真をもとにレンダリングし完成イメージを生成します。
アルミ製テールカウル製作中
通常、メーカーがニューモデルのカスタムを依頼してくる場合、依頼するビルダーの個性的なカスタムを望みつつも、パッと見てもとの車種が分かるように純正の特徴が残っていることも希望します。Kawasakiも同様で、今回のカスタムもDeusらしさとZ900RSの特徴がバランスよく共存することが期待されました。
そこでJeremy Tagandは2mmアルミ板からテールカウルとシートベース、ヘッドライトナセル(ヘッドライトボード)を製作。ハンドメイド部分とストック部分のサイズバランスを調整して、あえてはっきりカスタムと見えるように仕掛けを施しました。キーシリンダーはヘッドライトボード横に移設。TOMMASELLI(トマゼリ)のトラッカーバー。サイドカバーはテールユニットに合うように加工し、ハイマウントのフロントフェンダーもワンオフ品。タイヤはMetzeler(メッツラー)のKaroo 3。金属部分のほとんどをサンドブラスト加工。SC Projectの集合官マフラーをセットしています。
東京モーターショーで発表された3台のカスタムマシンとは、やっぱりアプローチの仕方が異なるカスタムで、前者が「KAWASAKI Z」の世界観を守るようなカスタムだったのに対し、Deusは(日本から見ると)世界観を広げるようなカスタムになっています。世界中で販売されていたZ1。それぞれの国で、それぞれの「KAWASAKI Z」の歴史が紡がれているようです。
出典:
Deus Ex Machina「THE STONE TRACKER」
Bike Exif「STONE TRACKER: KAWASAKI LETS DEUS LOOSE ON THE Z900RS」