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UKジャズシーン:Maxwell Owin(マックスウェル・オーウィン)

マックスウェル・オーウィン(Maxwell Owin)

あ、それと、僕の仲間、マックスウェル・オーウィン(Maxwell Owin)もね。あいつは音の魔術師だよ。

(出典:i-D「ロンドン・アンダーグラウンド・ジャズ・シーンの新星、プーマ・ブルー」)
UKジャズの新星Puma Blue(プーマ・ブルー)に「音の魔術師」と紹介されていたMaxwell Owin(マックスウェル・オーウィン)。
いったいどんなアーティストなんでしょう?



Jazz Re:freshedスタイルとペッカムのYAM RECORDS

南ロンドン・ペッカムのレコードショップ兼音楽レーベル「YAM RECORDS」から今年(2017年)の9月8日に、件のMaxwell Owin(マックスウェル・オーウィン)と、キーボーディストJoe Armon-Jones(ジョー・アーモン・ジョーンズ)がダブルネームのユニットでEP「Idiom」をリリースしています。


こちらはプーマ・ブルーのような退廃感というか酔いどれ感のような雰囲気はなく、ブロークンビーツ経由のUKクロスオーバージャズの最新型。ブロークンビーツをバンドで演奏するやり方はJazz Re:freshed以降という感じです。(※Richard Spaven(リチャード・スペイヴン)やKaidi Tatham(カイディ・テイタム)の作品のリリース(5iveシリーズ)で知られるUKの音楽レーベル。兼プロモーター。)

Idiomの参加ミュージシャン:
Joe Armon-Jones (キーボード)
Jake Long (ドラム)
Maxwell Owin (ベース、音響)
Nubya Garcia (テナーサックス)
Oscar Jerome (ギター)

このバンドでのライブ動画。


やっぱりブロークンビーツ以降のジャズをバンドで演奏するスタイル。

ちなみに、「Idiom」をリリースしたYAM RECORDSがある南ロンドンのペッカムは、最近のロンドンジャズシーンを盛り上げているYussef Kamaal(ユセフ・カマール)がライブ活動を始めた街だったり、今のロンドンジャズシーンのキースポットのようですが、一体どんな場所でしょうか。

南ロンドンはこれまでは治安が悪かったり、そもそも住宅地な感じだったりと、あまり遊びに行くような場所ではなかったそうなのですが、地価が安いことなどから、いろいろなお店ができたりして若者が遊びに行くような場所になりました。
(中略)そんな南ロンドンのペッカムに着いてまず足を運んだのは、駅前にある細長い出店スペースだった場所を利用したYAM RecordsとBalamii Radio。Holdrons Arcadeという名前の場所で、神戸の阪急三宮の駅の中にあるような狭い商店街なのですが、現在はレコード屋さん・ラジオ局やアートギャラリーなどがお店を構えていてオシャレな穴場スポットという感じでした。

(出典:ステレオレコーズがお届けするコラムサイト「南ロンドン・Peckham(ペッカム)のレコード屋さん&ラジオ局」)

地価が安い地域にアーティストやショップが集まって盛り上がっていった感じですね。新しい交流が生まれやすい環境でもあります。


南ロンドンジャズシーンのミュージシャン

バンドメンバーをチェックしていたら、「Idiom」参加しているテナーサックス奏者Nubya Garciaが、今年(2017年)の5月9日にまさにJazz Re:freshedから「5ive」をリリースしていました。

Nubya’s 5iveの参加ミュージシャン:
Joe Armon-Jones (ピアノ)
Moses Boyd (ドラム)
Daniel Casimir (ベース)
Femi Koloeso (ドラム #1, #3, #6)
Sheila Maurice-Grey (トランペット #1)
Theon Cross (チューバ #3, #6)

こちらの作品にはジョー・アーモン・ジョーンズと、i-DでUKジャズシーンを盛り上げているユニットと紹介されていたBinker & Moses(ビンカー&モーゼス)のドラマーのモーゼズ・ボイドが全面参加しています。

おお!っと思いJazz Re:freshedの最近のリリースをチェックしてみると、「Idiom」に参加しているドラマーJake Long(ライブ動画で叩いてるのも彼です) も、自身のバンド「Maisha」でJazz Re:freshedから作品をリリースしていました。

Maishaの参加ミュージシャン:
Jake Long (ドラム)
Nubya Garcia (サックス/フルート)
Shirley Tetteh (ギター)
Amane Suganami (キーボード)
Twm Dylan (ベース)
Tim Doyle (パーカッション)

ジョー・アーモン・ジョーンズとモーゼズ・ボイドが参加するまた別のJazz Re:freshed作品

ジョー・アーモン・ジョーンズ、調べてみたらビンカー&モーゼスと同じくi-DでUKジャズシーンを盛り上げていると紹介されていたバンド、Ezra Collective(エズラ・コレクティヴ)のメンバーでした。


この作品にはNubya Garciaもゲスト参加。

ぜんぜん知らなかったので時系列を逆に遡るかたちになりましたが、大手輸入盤ショップがJazz Re:freshed周りのCDやレコードを取り扱わなくなっただけで、コツコツとリリースを重ねていたんですね。寂しいですがもう大手レコードショップの入荷ニュースだけでは、音楽シーンを把握できないと再確認。このUKジャズシーンにプーマ・ブルーが接近した形でしょうか。ストレートにこのシーンからの影響が音に出ている感じはあまりしないですよね。プーマ・ブルーはどちらかというとJerkcurb(ジャークカーブ)とかの方が近い感性だと思います。


ザ・ウィザード・マックスウェル・オーウィン

ジョー・アーモン・ジョーンズの話ばかりになってしまいましたが、もともとはこの人、「音の魔術師」ことマックスウェル・オーウィンを調べていたのでした。
1993年生まれ、うーん、それ以上の情報は見つけられませんでした。

作品は、2016年1月4日にMaxwell Owin名義で自身のバンドキャンプからリリースしたEP「Fruits And Flowers」があります。

[Darlin]や[Blue In Green]がおすすめ。
参加ミュージシャン:
Jake Long (ドラム)
Rosie Turton (トロンボーン)
Oscar Laurence (ギター)
Claude Petersen (テナーサックス)
George Winston (アルトサックス)
Joe Armon-Jones (シンセ/キーボード)

Joe Armon-Jones、Jake Longと見覚えのある名前が参加していますね。トロンボーンのRosie TurtonもJazz Re:freshedがオーガナイズする若手ミュージシャンを紹介するライブイベント「Jazz re:freshed Residency」に出演しています。
「Fruits And Flowers」はミュージシャンが多数参加する作品ながら、「Idiom」と違いグッとプーマ・ブルーの音楽に近い感触があります。

マックスウェル・オーウィンがソロでBoiler Roomに出演している動画もありました。これを見るとマックスウェル・オーウィンはどちらかと言うとDJやトラックメイカーに近いミュージシャンだと分かります。

他にも「Joe Armon Jones & Maxwell Owin」のリリースライブの最後に登場したMC Pintyとマックスウェル・オーウィンのライブ動画があります。MC PintyはKing Krule(キング・クルエル)のクルーで最近はファッションアイコンでもあります。マックスウェル・オーウィンをサポートにつけたライブです。

MC Pintyが2015年3月15日にリリースしたアルバム「MIDNIGHT MOODS」

#2と#8のトラックをマックスウェル・オーウィンがプロデュース。またクレジットにあるDJ JD SPORTSはKing Kruleの別名です。マックスウェル・オーウィンは「MAXWELL OWIN THE WIZARD」とクレジットされていますね。そんな二つ名を見かけたのはジェフ・ミルズ以来!

少しそれますが、King Kruleにギターを教えたのはJerkcurb(ジャークカーブ)と言われていて、なんとなくこの辺り繋がってきます。

南ロンドンジャズシーンのミュージシャンと活動しながら、トラックメイカーとしての顔も見せるマックスウェル・オーウィン。UKのDJハリソン(ブッチャー・ブラウン)と言ったところでしょうか?プーマ・ブルーとマックスウェル・オーウィンの今後の活動が楽しみです。

勝手な妄想として、Burial(ブリアル)やジェイムス・ブレイク(James Blake)xブロークンビーツ以降のジャズみたいなシーンが立ち上がってきたらドキドキしますね。


サウスイーストロンドンシーンをさらに知りたい人は

YAM RECORDSのサイトで「ロンドン/サウスイースト」カテゴリで最新の新譜がチェックできます。レコードショップとしては中古盤のほか、地元ペッカムを中心にした南ロンドンのアーティストのレコードに力を入れて揃えているそうです。
YAM RECORDS

南ロンドンの様子や雰囲気が知りたい方はこのブログ記事がおすすめ。
ステレオレコーズがお届けするコラムサイト「南ロンドン・Peckham(ペッカム)のレコード屋さん&ラジオ局」

Clash MagazineのUKジャズシーンを紹介した記事もおすすめです(ただし英語)。ここにHieroglyphic Beingの名前が出てきて驚きました。
Clash Magazine「UK Jazz Is Killing It Right Now」


https://motolab.jp/www/2017/11/15/puma-blue/


Joe Armon-Jones & Maxwell Owin「Idiom」

「イディオム」は、ジョーとマックスウェルのディレクションのもとで行なわれた複数のコラボレーションをまとめた作品です。Nubya Garcia、Oscar Jerome、Jake Longをフィーチャーし、「Hardcore Continuum」の影響を強く受け、2ステップ、ブロークンビーツ、ハウス、ジャズ、ダブといった音楽の要素を包含しています。4hero、Floating Points、Harvey Sutherland、Moodymannと同じ空気纏う、今ロンドンで最もエキサイティングな若い才能です。

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