Birth of New Standard
不眠症の男の子の夜は長い。眠れない夜のためのサウンドトラック。

Jamie Isaac(ジェイミー・アイザック)
2010年代半ば以降、南ロンドンには家賃の高い東ロンドンやその他から人が流れてきます。南ロンドンはいつの間にかヒップなスポットに。そんな現在から遡ること約10年、まだ交通の便も悪く、ロックスターもいなくて、お洒落でもない南ロンドンでは、ジェイミー・アイザックやキング・クルーのようなローカルがヒップホップとジャズへの愛を共有し、音楽を作っていたといいます。
[デビューアルバム”Couch Baby”収録の#3:”CNT U SEE”。エスペランサ・スポルディングの”Fall In”をサンプリングしている。]
ジェイミー・アイザックは、7歳からピアノを始めクラシックを4年、ジャズを3年学んでいます。その後ブリットスクールに入学し、キング・クルーに出会います。その後の2人の活躍はご存知のとおり。
Q:ジェイミー・アイザックは本名じゃないよね?名前の由来は?
ジェイミー・アイザック「作った音楽を友達に知られずにインターネットで発表したかったんだ。15歳くらいの頃って、友達がどう思っているかを心配せずに何かするのは難しい。誰にも気づかれずに自分のやり方をディグって、自分のサウンドを見つけたかった。それから自分のエイリアスは普通の名前にしたくて、それがおばあちゃんの名前になった。家族との強い繋がりを得ることになったよ。」
(出典:「Music Crowns」)
『(4:30)Idler』(2018)
不眠症からくる夜行性がテーマのこのアルバム。「(午前4時30分)さ迷う人」のタイトル通りアルバム通して感情の温度感は低く、少し幻想的な真夜中の雰囲気を描き出しています。思春期の頃のダラダラ過ごす夜を捉えた音像は夜のドライブやツーリーングの相棒になること間違いなし。
ジェイミー・アイザック「アルバムの4分の1をLAで作曲した。できるだけロンドンとは正反対の場所に行きたいと思って。LAはいつも晴れているからね。’Slurp’なんかは間違いなくカリフォルニアのバイブがあるよ。LAで書いたものの多くは、家に持って帰って仕上げた。」
(出典:「Music Crowns」)
このアルバムには、新世代のUKジャズミュージシャンが参加しています。
ジェイク・ロングはジョー・アーモン・ジョーンズのエレクトロニックジャズユニット「イディオム」や自身のバンド「マイシャ」で注目を集めるドラマー。そしてライブでエレクトロニクスと音響を担当するマックウェル・オーウィン。ジェイミー・アイザックもライブセットのウィザードと評価し、プーマブルー等他のサウスロンドン系アーティストからも音の魔術師と評判のミュージシャン。
Q:まだロンドンに住んでる?
ジェイミー・アイザック「そうだよ、ペッカムに住んでる。もう4年ぐらいになる。元々はクロイドン出身だったけど、サウスイーストロンドンに住むことにした。良いところだよ。」
ジェイミー・アイザック「子供の頃からアーチーとは知り合いで、僕が作った音楽を隠そうとしたひとりだった。」
(出典:「Music Crowns」)
Moses Sumney(モーゼス・サムニー)

Moses Sumney(モーゼス・サムニー)
※※近日公開※※
『Black in Deep Red, 2014 – EP』(2018)
Bruno Major(ブルーノ・メジャー)

Bruno Major(ブルーノ・メジャー)
※※近日公開※※
『A Song for Every Moon』(2017)
フリーランスのジャズミュージシャンが奏でるハイクオリティソウル

Smithsoneon(スミソニオン)
NYハーレムを拠点に活動するバンド「Freelance」の発起人でシンガーのスミソニオン。様々なアーティストのサポートで活躍するフリーランスのミュージシャンで結成されたバンド「Freelance」は、デビューアルバム「Yes Today」をリリースしたばかりです。レーベルは「Revive Music」。
『Freelance – Yes Today』(2018)
このバンドは自ら影響を受けたアーティストをリストアップしていて、リストに並ぶ名前はミントコンディション、Earth, Wind & Fire、スティービー・ワンダー、レディオヘッド、ロバート・グラスパーといった辺り。EW&Fやスティービー・ワンダーの影響は、そのサウンドを聴けば一聴瞭然。あとマイケル・ジャクソンも。
ロバート・グラスパーはまだ分かるけど、レディオヘッド??と思った方はこの音源を聴いてみてください。
ネオソウルのフィーリングでアレンジされたビラルバージョンの「High&Dry」をカバーしています。いまやレディオヘッドは、本人たちのオリジナルではなく、誰々がやったバージョンで話ができる”スタンダード”的存在。
Freelanceには、相棒の鍵盤奏者オーサー・ジ・アンバサダー、現ロバート・グラスパー・エクスペリメントやR+R=NOWで活躍するドラマー、ジャスティン・タイソンや、トランぺッターの黒田卓也のバンドで活躍するサックス奏者クレイグ・ヒル、

[2011年12月にリリースされたソロEP] スミソニオンはバークリーで音楽教育を受けた音楽家で、オーサー・ジ・アンバサダーと共にFreelanceのソングライター。自身の音楽インスピレーションのひとつに挙げるのは「Take6」で、バークリー在籍時はヴォーカルアレンジの研究対象にしていたそうです。
[ソロでの自作曲も美しい。] 結局、特定の声を持つことがなかったロバート・グラスパー・エクスペリメントですが、その次の世代からこういうバンドが出てきたのを見ると、やっぱり一枚ぐらいガッツりとこういうヴォーカリストを据えた作品を聴いてみたかったですね。Freelanceの「Yes Today」をリリースしたのは、2000年代半ばからずっとシーンを支えてきたRevive Music。そのRevive Musicがレーベル第一弾アーティストに選ぶのも納得のハイクオリティなソウルミュージック。
Tom Gallo(トム・ギャロ)

Tom Gallo(トム・ギャロ)
※※近日公開※※
『Tell Me the Ghost』(2018)
Darwish(ダルウィーシュ)

Darwish(ダルウィーシュ)
※※近日公開※※
『Reclamation』(2018)
誰かが残したボイスメールのバラード
Puma Blue(プーマブルー)
現在のサウスロンドンは、シャバカ・ハッチングスやヌビア・ガルシア、モージズ・ボイドを筆頭とする”We Out Here”周辺や、幅広い支持を集めるカマール・ウィリアムスを中心とした22aクルーのクラブジャズ、などなど新世代UKジャズシーンと、キング・クルーやジェイミー・アイザック周辺や新世代パンク等のオルタナティブシーンが同居する、音楽のメルティング・ポットとして注目を集めています。
そうしたアーティストの中でもひときわ強い個性を感じさせるのがプーマブルーことジェイコブ・アレンです。
メディアのインタビューに、”ボイスメールのバラード”、と自身の作曲した歌を説明するプーマブルー。
(※ボイスメールとは留守番メッセージをメールに送信するサービス)
プーマブルー「友達がぼくの音楽は、歌のようでもあり、誰かが残したボイスメールを聞いているようにも感じると言ったんだ。ぼくはその感想をとても気に入っている。」
(出典:GoledenPlec「PUMA BLUE – INTERVIEW」)
『Swum Baby』(2017)
「ぼくはいつも自分達を、R&Bをプレイしようとしているパンクバンドだと思っている」
(出典:GoledenPlec「PUMA BLUE – INTERVIEW」)
7歳からドラムを始め、10代前半にギターを手にしてから作曲も開始。
影響を受けたアーティストはジェフ・バックリィ、ジュリー・ロンドン、レディオヘッド、ディアンジェロ、エリオット・スミス、最近のアーティストではフランク・オーシャン、ブリアル、ブレント・ファイヤズ(Sonder)の名前を挙げています。
目下の最新曲「Midnight Blue」
1st EP以降単発で曲を発表していたプーマブルーですが、そろそろ2nd EPが発表されそう雰囲気。
と、そんなまさに旬なタイミングで11月に来日ライブがあります。
いま、まず間違いなく目が離せないアーティストです。
出典:
noisey 「Jamie Isaac is a Sad Boy, but he’s OK with that – interview」
noisey 「Welcome to Jamie Isaac’s World」
Music Crowns 「Interview: Jamie Isaac is growing and evolving」
Freelance 公式サイト
Revive Music 「Harlem Collective Freelance On Their Forthcoming Debut ‘Yes Today’」
Soul Artistry Media 「TAKE A VISIT THROUGH THE DIMENSIONS OF THE SMITHSONEON」
GoledenPlec 「PUMA BLUE – INTERVIEW」
Viper [INTERVIEW] PUMA BLUE